涼宮ハルヒの消失観たよ

キョンがヒロイックな活躍をして、長門がひたすらかわいくて、これで面白くないわけがないよという映画。

コンテには総監督・監督である石原立也武本康弘両氏に加え、なんとみんな大好き高雄統子さん。もちろん演出にも。真っ白な夏を描いたクラナド2期12・18話とは反対に、今回は真冬を表現する。夜の暗く寒いシーンが多い(というか印象に残っている)うえ、昼間でも晴空は出ない。彼女が得意?な、クラナド杏編のような重〜い画面になっていた。予告にもあったみくるの影が入りまくった顔が何より象徴的じゃないかと思う。

作画はおそらく2コマベタ打ちのうねうねした芝居で、気持ちよさとは程遠かった。クラナドけいおんであそこまでいい作画をやっていたのに、どうしてまたこう戻ってしまったんだろうと思う。そりゃテレビと劇場じゃ違うのだろうが……。そのマフラーどんだけ軽いんだよとか、カバンのハンドルどんだけ柔らかいんだよとか。カタルシスは作画と違う形でやってくるので、作品自体に対しての不満というわけじゃないんだけど。

それでもディテールを描くという方向性は成功していたようにみえる。シワ、影、髪のハイライト、言うまでもなくキャラの表情作画、どれをとっても丁寧な仕上がり。これまた綺麗な美術と合わさって、エヴァに匹敵するくらいのとても豪華に見せた画面。横断歩道の塗装を白一色で塗るのではなく、部分部分をはげさせ劣化しているように描いていたのにはちょっと感動。

声の演技では、後半の平野綾の演技が抜群で、みくるより鶴屋さんより誰よりも拒絶感を表現していた。そういう点では朝倉涼子に再会したときのキョンもよかった。もちろん杉田さんの場合、全編にわたっての大活躍になるのだけど。

個人的にドラえもんの劇場長編を連想した。ながえもんが故障して、でもヒントは残ってて、自分でなんとかしていく。雲の王国だったかブリキのラビリンスだったか、あのへんの。長門がおかしい、というのも原作を読んでいるから知っているのであって、未読ならまた印象は変わるんじゃないかなあ。