黒歴史ある人、いますか? AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜

僕は妄想だけで済みましたよ。それを口に出すなんてことは・・・・・・漫画も描いていた。イラストじゃなく漫画。今で言うケロロ軍曹みたいな感じのパロパロしてる漫画。テイルズの新技を開発するなんてことは回避できました。高校からはバンドにハマっていたので無事に脱け出しました。今はラノベ読んでアニソン聞きながら使いもしない絵コンテ描いたりしてますけど。
読んでいる間こんなに胃が痛かった作品は初めて。なので人に勧めるときは覚悟を求める必要があります。
以下ネタバレしてるかも。


リアリティ満ち溢れるセカイ系。読んでいて思い出したのは村上龍69 sixty nine。方向性は真逆ではあるけどみんなヒーローになりたい。けどまともな方法がわからないので、後先考えず変な行動を起こしてしまう。

ここで言うリアリティとは容赦なく否定する人間が存在するということ。思い当たったのはヨイコノミライ。その結果、どっちも素直に見ればハッピーエンド。そりゃこんな展開で救いのない話やられたら死人が出てもおかしくない。自尊心とエゴにまみれた価値観を否定された挙句バッドエンドされたら、死ぬよ。死ぬなんて簡単に言っちゃったのを訂正すると、『普通に生きる』ことが本当につらくなる。そんなお話は中高生には読ませられないよね。

さりげないパロディにオタク文化へのアンチテーゼを埋め込んでいる気もする。最後にはみんなが何もかも肯定してくれるけど、そこではやっぱり子どもには理解ある大人が居てくれなきゃダメなんだということを痛感させられる。ほとんど一人で乗り越えた一郎は強いよ。


その他雑感。固有名詞商品名がポンポン飛び出す。そこから見受けられるリミッターを解除したロミオという点に着目すると、色んな意味で箍を外した会話ってこんなにも面白くなるのかと驚く。

そう、この作品で何より楽しんでほしいのはリズミカルな会話。その前では最後に一郎が繰り出す一世一代渾身の独白さえ霞むかもしれない。実際多かったのかどうかはわからないけどこれほど会話が多いと感じたラノベはない。そしてそれはロミオ作品の中でも抜群に面白い。舞台が人類が衰退した未来とかじゃなくて学校、しかも不適格者更生施設とかじゃなくて普通の学校、普通のクラス。そういうものから共感し得るところが多かったからだろうか。


今日は通院日で、点滴している間に読んだ。終わったらピンクでレースでフリルの甘ロリちゃんが座っていた、なんてことはなかったけど。


AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫 た 1-4)
田中 ロミオ
小学館
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参考: